タロットは、
答えを教えるだけのもの?

迷いに一本の道をつくる、カードの話。

答えのない問いに、考えるための一枚を。

地図とランタンを前に、進む方向を考える灰色の猫ノア
ノアの道しるべ 全部の道を選ばなくてもいい。今は、ひとつの方向を見てみよう。

タロットというと、「未来を占うもの」「カードが答えを教えてくれるもの」というイメージを持つ人も多いと思います。

もちろん、それもタロットの楽しみ方のひとつです。

けれど、何度もカードを引いていると、少し違った役割に気づくことがあります。

それは、答えをもらうというより、考えるための方向をひとつもらうことです。

01

考えれば考えるほど、
道が増えてしまう

何かに迷っているとき、頭の中ではたくさんの可能性が生まれます。

「あの言葉は、こういう意味だったのかもしれない」

「いや、別の意味かもしれない」

「自分はこうしたい。でも、あちらを選んだ方がいいのでは?」

「そもそも、この考え方自体が間違っているのでは?」

ひとつ考えるたびに枝分かれして、気づけば最初に何を考えていたのか分からなくなる。

NTTarotを作っている私自身、タロットを使っていて助けられるのは、まさにこんなときです。

カードを引いたからといって、世界のすべてが分かるわけではありません。

それでも一枚のカードが置かれると、こんなふうに思えることがあります。

とりあえず今は、
この方向から考えてみよう。

それまで無限に広がっていた考えの中から、ひとつに焦点を合わせ、それ以外をいったん脇へ置く。

私にとってタロットは、ときどきそんな「思考の道しるべ」になります。

02

これは、個人的な感じ方
だけなのだろうか

そんな使い方は、自分だけのものなのだろうか。

少し調べてみると、タロットを日常的に利用する人を対象にした研究の中にも、似た体験が報告されていました。

2018年にFordham Universityへ提出された、タロットの読み手と相談者へのインタビューを中心とした研究では、相談者がタロットに求めていたものとして、未来予測だけではなく、「確認」「洞察」「遊びや創造的な体験」などが挙げられています。[1]

これはなかなか面白い表現です。

カードが唯一の正解を決めるというより、「何を考えればいいのか分からない」という状態から、「まずは、これについて考えてみよう」という状態へ。

タロットには、そんな働き方もあるのかもしれません。

03

「人生はまったくの無秩序ではない」
と感じること

別の研究では、日常的にタロットを自己内省のために使っていた人たちへのインタビューが行われています。

そこで語られていたのは、現在の状況についての洞察を得たり、これから取り得る行動を考えたりする使い方でした。特に難しい時期にカードを使うことが多く、そこから新しい視点を得たり、安心を感じたりした人もいました。[2]

印象的なのは、そこに「人生はまったく秩序のないものではない、と感じられること」に近い体験が記されていることです。

未来のことも、人の気持ちも、自分の選択が正しいかどうかも、本当のところは分かりません。世の中は、分からないことだらけです。

そんな中でカードを一枚引く。

もちろん、それが絶対の答えだという保証はありません。でも、「今は、このカードが示すものを頼りに少し考えてみよう」と思うことはできます。

完全な確信ではなくても、ほんの少し足を置ける場所ができる。

タロットを続ける人の中には、そんな感覚を大切にしている人もいるのかもしれません。

04

自分だけでは選ばなかった
視点がやってくる

タロットには、もうひとつ面白いところがあります。

カードを自分で選んで意味を決めるのではなく、何が出るか分からないことです。

たとえば、「もっと積極的に進むべきだろうか」と考えていたところへ、「吊るされた男」が出る。

そこで、「進むことばかり考えていたけれど、動かずに見方を変えるという考え方もあるのか」と気づくかもしれません。

反対に、「いや、今の自分にはそれは違う」と思うこともあります。でも、それもひとつの発見です。

カードに賛成したときだけでなく、カードに反発したときにも、そこには自分の考えが現れます。

タロットは自分の心を直接読み取る機械ではありません。

けれど、自分だけで考えていたら選ばなかったかもしれない視点を、突然テーブルの上へ置いてくれる。

それが、カードという道具の面白さなのだと思います。

05

答えではなく、
「考えるための一枚」

心理学の研究でも、不確実な状態は情報を探す行動を促し、認知的な負担にもなり得ることが知られています。[3]

分からないから、もっと調べる。それでも分からないから、さらに考える。

これは必要なことでもありますが、答えのない問題では、いつまでも終わらないことがあります。

  1. 01

    問いをひとつ決める。

  2. 02

    カードを引く。

  3. 03

    そこに描かれたものを見る。

  4. 04

    意味を読み、自分の状況に重ねて考えてみる。

この一連の時間によって、際限なく広がっていた思考に、ひとまず枠ができます。

タロットが未来を知っているのか。偶然引いたカードに意味があるのか。その答えは、人によって違っていていいと思います。

ただ、カードをきっかけにして、昨日とは少し違う角度から、自分の問いを見てみる。

それだけでも、タロットを引く意味はあるのかもしれません。

06

今日、ひとつだけ
問いを置いてみる

もし、考えていることが多すぎて何から手をつければいいか分からないとき。

未来のすべてを知ろうとしなくても大丈夫です。

まずは、問いをひとつだけ。そして、カードを一枚。

そこに正解が書かれているとは限りません。でも、その一枚から考え始めることならできます。

答えのない問いに、
考えるための一枚を。

それもまた、タロットとの付き合い方のひとつです。

REFERENCES

参考資料

  1. 1

    Charles Mason Olbert (2018)

    Divination Practices: An Empirical Psychological Investigation Fordham University Research Commons
  2. 2

    Hofer, Gigi Michelle (2009)

    Tarot cards: an investigation of their benefit as a tool for self reflection University of Victoria Research Repository
  3. 3

    Keller, A. M., Taylor, H. A., & Brunyé, T. T. (2020)

    Uncertainty promotes information-seeking actions, but what information? Cognitive Research: Principles and Implications

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最初の一枚へやさしく招く白猫のミュリエル

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